日本は世界で一番、医者が大学に残る国だ。にもかかわらず日本発の画期的な新薬や検査法はほとんど出てこない。オリジナリティがないからである。これでは外国のサル真似医学といわれても仕方ない。経済学者にしても、フリードマンやケインズの研究者はたくさんいるが、自分で新しい経済学を生み出していこうという人はなかなか現れない。間違った大学教育の弊害である受験勉強でせっかく学力を上げても大学で殺されてしまう。江戸時代の和算家・関孝和はライプニッツが行列式の概念に到達するより前に、同じ概念を独自に研究していたといわれる。日本が鎖国をしていたにもかかわらず、当時の世界的な数学よりもレベルが高かったのだ。浮世絵のオリジナリティも、西洋の美術に大きな影響を与えた。平安時代に書かれた『源氏物語』にいたっては世界初の長編小説である。日本人そのものにオリジナリティのポテンシャルが低いわけでは決してない。残念ながら、コンテンツ重視の受験勉強では仮説力は身につかない。受験勉強で理系発想を養うには、自分に合った勉強法を試してみるといった実験的な発想を持つことが大切である。そして、受験勉強はノーベル賞級の創造力をそぐものではない。そうでなければ、大学受験など受験の勝者である一流国立大学の出身者以外、一人もノーベル賞を取っていない理由の説明かつかない。受験批判をするより、大学のあり方を批判するほうが建設的だろう。