古民家の移築ブームなどで一般にも知られているように、在来の木造軸組工法の家は、家の構造を組み上げるときに釘を使わず、木と木を直に組みあげる。昔は、釘自体が高価で、使えなかったということもあるだろうが、今は、年月が経つに連れて錆びたり外れたりする釘を使うよりも、木と木を組み上げていったほうが、家としての耐久力が強いということが実証されている。釘は錆びるが、一度組み上げられた木は、その木が朽ち果てるまで噛み合い続け、接合部分が外れることはないからだ。
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湿気対策や病害虫対策さえしっかりしてあれば、よほどのことがない限り、100年でも200年でも木としての強度を保ち、朽ち果てることはない。高温多湿の日本では、昔から、木と土でできた家屋が、外界からの温度や湿度の調整役をしてきた。開け放てば、どの部屋にも縦横無尽に風が回る。障子や雨戸を閉めれば、木や土が適度に部屋の温度や湿度を守る。「どんな住み方でも、縦横無尽にできる。その快適さこそ、日本家屋ならではのものよね」早くも立ち直り、エンジンがかかってきた私は、在来の木造軸組工法にマ卜を絞り、それしか見えなくなりはじめていた。そんな私に、あきれたように主人が言った。